「高速道路で車に塩カルがついた!」
「雪の降る地域に車で旅行にいく予定があり、塩カルが心配」
「正しい塩カルの落とし方を知りたい」
雪道に撒かれている「塩カル」。
白い粒上の物質で、東北や北陸の道路で見たことがある方も多いのではないでしょうか。
融雪効果があり、道路の安全に繋がっている一方、車に付着したまま放置すると故障や車検不合格に繋がる可能性も...。
そこでこの記事では、創業50年以上の老舗カーコーティング専門店が、正しい塩カルの落とし方や事前にできる対策をまとめました。
雪国に住んでいる方や、雪の降る地域に車で旅行にいく方、高速道路を走行する方に参考になる内容です。
この記事のもくじ
塩カルとは
「塩カル」とは「塩化カルシウム」の略称で、いわゆる塩のことです。
塩カルには水に溶けると発熱する性質があるので、雪が積もらないよう防ぎ、凍結を防止する効果があります。
そのため、冬場の東北や北陸などの雪深い地域の道路・高速道路に、必ずといっていいほど撒かれている「融雪剤」の主成分となっているのです。
塩カルは、「凍結防止剤」「融雪剤」「スリップ防止剤」などと呼ばれることもありますが、どれも同じような効果を持つ 意味で使用されています。
放っておくと錆びる?車への塩カルの影響
冬の道路の安全に欠かせない塩カルですが、成分のほとんどは「塩」。
走行中にボディやタイヤ等に付着した塩カルを放っておくと、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。
①錆びて車の見た目が悪くなる
塩は金属を腐食させる性質があるため、車に付着した塩カルを放っておくと錆びに繋がる恐れがあります。
ボディの塗装表面に浸透したり、元々あった細かなキズから錆が広がってしまったりすると、色落ちやツヤの低下などに繋がり、車の見た目に影響します。
②マフラーの損傷
見た目の錆びや劣化も心配ですが、特に注意したいのがマフラー部分。
錆びが進行すると穴が空いてしまうこともあります。
「塩カルで簡単にマフラーに穴は空かないだろう」と考える方も多いかとは思いますが、熱を持つマフラーには塩カルが固着してしまうため、他の部分よりも錆びやすいと言えます。
マフラーが錆びると、車自体の故障にも繋がり、修理費もかさみますので注意しましょう。
車検に通らなくなる
一番怖いのが、塩カルの放置による車検不合格です。
塩カルや融雪剤はタイヤに巻き上げられ、車の配管やエンジンルームにまで入り込むことがあります。
ボディだけ塩カルを落として下回りパーツを放置してしまうと、知らないうちに劣化・サビが進行。マフラーやミッション部が損傷し、オイル漏れが起こっている危険な状態だった、ということもあり得ます。
これでは車検に通らず、修理が必要となります。
車に付着した塩カルの効果的な落とし方3選
塩カルはスリップ防止などに役立ち、冬の道路の安全に欠かせない一方、洗車せずに放置すると車の劣化や故障に繋がることを確認しました。
ここからは、車に付着した塩カルの正しい落とし方について確認していきましょう。
塩カルがついた時の洗車の頻度は?
日常的に塩カルが撒かれた道路を走行する場合、影響をできるだけ予防するには、最低でも月に1〜2回の洗車を推奨します。
また、スキーや旅行などの道中で一時的に雪の降る地域を走行した場合は、帰宅後一週間を目安に洗車すると良いでしょう。
※放置すると錆びますが、車は防錆塗装や各種コーティングも施されているので、すぐに悪影響が出るわけはありません。
ただ、付着してから時間が経った塩カルは固着して洗い流しにくくなるのでなるべく早く行うのがベストです。
高圧洗浄機を使う
自分で洗車する場合は、高圧洗浄機をおすすめします。
ボディに付着して時間が経ったり、下回りの熱で固着してしまったりした塩カルもしっかり落とすことができるからです。
※高圧洗浄機はかなり強力で、塗装が剥がれてしまう場合もありますので、必ず弱い圧力から噴射してください。
高圧洗浄機を用意できない場合は、以下のような水道ホースに取り付ける下回り専用の散水器などを活用しましょう。
落としきれない部分があれば、カーシャンプーなどを活用してください。
その後、通常の洗車と同じようにすすぎ残しがないように気をつけて、柔らかい布で拭き上げて終了です。
要注意!
このようにご自宅での塩カル落としの際には「服装」に注意が必要です。
塩カルや融雪剤は濡れた手や足につくと皮膚炎を起こす可能性があります。
必ず手袋と汚れてもよい服装、長靴を履いて洗車してください。
ガソリンスタンドの下回り洗浄を活用する
ガソリンスタンドにある自動洗車機で洗車する方法もあります。
雪国のガソリンスタンドの自動洗車機は塩カルや融雪剤の除去を前提にしてあるものがほとんどで「下部洗浄」または「下回り洗浄」のオプションがついていることがほとんど。
値段も通常の洗車コースに+数百円とお手頃です。
寒い時期に自動で洗車してもらえるので便利ですが、人の手で行うものと違って洗い残しが多くなりがち。
最後は自分でチェックすると安心です。
塩カル落とし専用の洗剤を使う
さらにスムーズに塩カルを落とすなら、「融雪剤専用除去剤」や「鉄粉除去剤」として販売されている専用の洗剤がおすすめです。
鉄粉除去剤はボディに付着したザラザラした鉄粉や、アルミホイールにこびりついたブレーキダストを除去するものですが、塩カルにも活用できます。
洗剤を使用するにしても、大がかりな洗車は面倒という方は、エクセルコートの「鉄粉除去剤」がおすすめです。
スプレータイプなので気になる部分に吹き付け、数分置いて洗い流し、拭き上げるだけ。
寒い冬の長時間の洗車は避けたいという方も使いやすいのではないでしょうか。
これでもう錆びない!前もってやるべき車の塩カル対策
ここまで車についた正しい塩カルの落とし方を解説しましたが、寒い冬の時期の洗車の負担は軽くしたいものですよね。
そこで、冬になる前に事前にできる塩カル対策を見ていきましょう。
以下の3つをやっておけば、車につく塩カルも少なくなり、影響も最小限にとどめられます。
車のキズは放置せず早めに直しておく
何かをぶつけてしまった大きなキズから、飛び石などでできた小さなキズまで、塗装が欠けてしまっている部分はありませんか。
そこに塩カルが付着すると、その小さなキズからサビが広がります。
タッチペンで簡単に補修することができますので、保護しておきましょう。
ご自身の車種・カラーを確認し、通販などで探せば500円前後で購入できます。
深く、大きいキズや下回りの傷みを発見した場合は、プロに依頼しましょう。
カーコーティングしておく
塩カルが付着した場合の影響を少しでも抑えたい場合には、カーコーティングを検討しましょう。
コーティングの中でも塩カル対策として有効なのは、下回りを中心とする「アンダーコーティング」と呼ばれるものです。
塩カルが付着しづらく、付着したときでも落としやすくなります。
さらに、防音・防振・泥、海岸沿いの塩害にも効果を発揮しますので、様々な走行場面でメリットが多数。
車種やサイズによって異なりますが、値段はおよそ30,000円前後。ちなみに、ENEOSウィングでは以下の料金で案内しているようです(2023年12月現在)。
車種サイズ
- SS〜Mサイズ:16,300円
- L〜XLサイズ:19,500円
※参照:車のアンダーコートとは?必要性や施工頻度、費用まで徹底解説 | ENEOSウイング サービスマガジン
1〜2年に1度程度の塗り直しでOK。
塩カルの影響での修理費を考えると、比較的お手頃と言えるのではないでしょうか。
シャシーコートなどのサビ防止剤で保護しておく
カーコーティングよりもさらに手軽に塩カル対策をしたい場合は、スプレータイプのサビ防止剤での保護をおすすめします。
雪道を走る前に、ご自身で気になる部分にスプレーしておけば、簡単に塩カルの被害を防ぐことができる優れモノです。
おすすめは、呉工業の「シャシーコート クリア」。
一般的に車体のコーティング剤には油性タイプが多い中で、こちらは水性タイプ。
臭いがしにくく、安全に作業しやすいので初心者の方にもおすすめです。
水性とはいえ、優れた速乾性と密着性で、融雪剤だけではなく、雨水・泥・雪・塩水や傷から車を守ってくれます。
クリアタイプなので、どんな車体の色でも使いやすく、家族で複数の車を保持している方にも便利なのではないでしょうか。
正しい塩カル落としで車の錆びを防ごう
この記事では、車についた塩カルの正しい落とし方や、予防策について解説しました。
・高圧洗浄機を使う
・ガソリンスタンドの下回り洗浄を活用する
・塩カル落とし専用の洗剤を活用する
もし塩カルがついてしまった時には、以上の3つの方法を試してみてくださいね。
また、塩カルが撒かれた道路を走行する前に、キズを直したり、カーコーティングやコーティングスプレーなども活用したりして事前の対策も行って愛車をキレイに保ちましょう!